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陶芸制作の環境づくりを考える




 

◯はじめに



 

「大学や研究機関を卒業したあと、どうやって陶芸をやっていこう…。」

「やったことないけど、陶芸やってみたいな〜…」

陶芸制作を続けたい人や陶芸をやってみたい人に向けて、わたし自身の制作環境を1モデルとした実践的な制作方法をご紹介いたします。みなさんの制作環境づくりの一助になれば幸いです。


 


 

◯制作場所を考える



 

どういった作品を作るかによって、必要な作業スペースが候補に挙がってくるかと思います。

制作場所のシェアの有無や窯の種類をよく吟味し、持続可能な制作環境をつくってみましょう。

・どんな作品をつくるか

 

   「土器や炻器をつくりたい」

   「酸化焼成や還元焼成をやりたい」
 

   「土をさわって焼いてみたい」

など、やりたいことや作品の形態、あるいは表現したい釉薬等によってつくりたいものはおのずと決まってくると思います。

場合によっては野焼きをすることもありますが、基本的に野焼きは法律で禁じられています。

一部例外がありますので、その際は焼成場所となる各都道府県や各市に問い合わせましょう。

 

↑土器っぽく焼成したもの。七輪で焼成しています。

 

 

↑磁器土で焼成したもの。電気窯で酸化焼成しています。

 

土器とは

炻器とは

焼成雰囲気とは

野焼きについて

 

 

 

・窯設備について

つくりたい作品や制作スタイルが決まれば、次は窯について考えてみましょう。

 

一般的な電気窯やガス窯は30〜200万円と非常に高価でなかなか手が出せない方が多いと思います。

 

とりあえず何かつくって焼いてみたいという方は、陶芸教室に通って焼成することをおすすめします。

 

経験のある方は窯のある施設を利用するか、窯を買って共有することをおすすめします。肚が座っている人は窯を一人で使うのもいいですね(かっこいい!)。

七輪でも作品を焼成することは可能です

 

また、窯は非常に重量のある設備ですので、床の耐荷重量に気をつけましょう。

コンクリート床や土間であれば延焼を防ぐこともできるのでおすすめです。

 

 

©陶楽房

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑工房にある電気窯のようす。古いので大事にあつかいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑窯道具のようす。地面が土なので汚れないように板を敷いています。

電気窯とは、ガス窯とは

酸化焼成・還元焼成

ガスの種類

窯のある施設

窯の設置について


 

 

・人数について

 

制作場所を利用する人数によって、施設の規模が変わります。

 

各人の作品の大きさや必要な作業スペースなどをよく話し合いましょう。

 

 

間取りの見方


 

 

・木工作業について

 

木べらや木コテ、作品の木箱や作業台、展示台を作ったりと、陶芸制作の一方で木工作業も必要になるでしょう。

 

作品によっては、木くずが入ると焼成時に破損してしまう場合もあります。

 

木工作業と陶芸制作で、それぞれ別の部屋を設けることをおすすめします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑木工作業をする部屋をDIYしました。床に傾斜がついていたので、底上げをしています。

壁面が土壁だったので、剥落しないようにペンキを塗布しています。


 

 

 

・家屋について

 

借家やマンション、アパートなどいろいろな種類の家屋がありますが、設備や規模、人数にあった家屋を選びましょう。

 

オススメは自分でリノベーションができる一軒家です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑棚を自作して壁に打ち付けています。

収納するものに合わせることができるので、狭い物件などの場合は有効だと思います。



 

 

 

 

 

◯ごみ捨てのこと



 

陶芸制作では、特にごみ捨てが面倒だと思います。材料をそのまま水に流してしまうと環境に悪影響のでるものも多く、また水道管も詰まりやすくなってしまいます。ここでは、ごみの分別や廃棄の方法などについてご紹介いたします。


 

 

・水道

 

いきなり水道を使って泥や土汚れを落とすのはぜったいに避けましょう。水を張ったバケツをいくつか用意し段階的にすすぐことで、安全に水道を使用することができます。バケツの泥は濾したあと桶に溜めておくことで、土嚢袋へきれいに捨てることができます。

 

 

⚠産業廃棄物

 

陶芸制作によってでる泥や釉薬などのごみは産業廃棄物に分類されることがほとんどです。

 

土嚢袋を用意しつつごみを捨て、ある程度量が溜まれば産業廃棄物回収業者に連絡して処分してもらいましょう。

 

"産業廃棄物には量に関する規定がないため、排出量がごく少量であったとしても産業廃棄物として認定されます。(中略)排出する廃棄物が極めて微量であったとしても、産業廃棄物としてしっかりと対応・処理していかなければなりません。"(e-reverse.comより引用)

 

 

↑バケツに釉薬や泥などを溜めているようす

ちなみに、窯を利用している方はサヤなどにいれて焼成すると物質として安定した状態のごみを生成することができますが、そういった場合でも各都道府県や市町村、回収業者に相談してみましょう。また、サヤは本来ごみ処理のために使うのではなく、焼成時の作品保護を目的とした道具です。本来の目的とごみ処理目的で使い分けることをおすすめします。

 

サヤ

産業廃棄物とは

 

 

 

・特殊排水

泥や釉薬、石膏などの作業では水を使って洗浄する場合が多いですが、こういったものは生活排水を利用せずに処理しましょう。前述したバケツによる沈殿物の汲み取り方法の他にも上水道の通ったシンクを改造してごみを汲み取る方法もあります。

 

排水の種類

トラップ型シンク


 

 

 

◯地域のこと



 

夜遅くまで作業をしたり大きな音の出る作業をする際には、近隣の住民の方々にご迷惑をおかけしないよう気をつけましょう。また、ごみ捨ても地域によってさまざまです。ごみ捨ての日にちや分別などを守りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑ごみ捨ての曜日確認表

 

 

 

 

◯おわりに


 

なにかをやりはじめるとき失敗はついて回ります。しかし、必要のない失敗まですることはありません。

 

わたしの見聞きしたことが、すこしでもだれかの失敗を回避することになればさいわいです。







 

宇野湧

はじめに
制作場所を考える
ごみ捨てのこと
地域のこと
おわりに
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